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海面反射観測レーダーは、次のようにして実現可能と考えられる。

・レーダーアンテナを可能な限り高い位置に取り付ける。

・レーダー受信機のSTC(Sensitivity Time Control)機能は取り去る。

・海面反射波の受信電力に距離補正をする。

・海面反射波の受信電力に必要な減衰補正をする。

・海面反射波の受信電力にビームの広がり補正(単位面積当たりに換算)をする。

・周波数は高いほうが良いが、降水による減衰等を考慮する。

 

このようにして、海面反射の観測できる最大距離と振幅を測定することにより、海況推定が可能であ。もちろん、強い降雨や、湿った降雪の場合には誤差が大きくなるのは許容するとした。このような思想で開発済みのレーダーはまだ無いので実用化のための開発・研究が必要になる。従って、現に存在する機器等を用いるとする本調査の趣旨には不適合であるが検討に値する。

 

波浪観測レーダーは、雨雲の影響を極力避けるためと、システム利得を大きくする目的で円形パラボラアンテナを使用する必要がある。また、受信機利得の距離補正と受信電力に比例した量を測定する関係上普通の船舶用レーダーを転用することはできない。レーダーの周波数はCまたはXバンドで、送信電力は数十kW、観測可能範囲は半径5〜10浬と考えられる。

 

海況観測レーダーシステムのイメージ例をまとめると次のようなものであろう。

・送信周波数:5.6GHz

・送信電力:50kW

・送信パルス幅:1μs

・パルス繰り返し周波数:1,000Hz

・アンテナ形式:円形パラボラ(O.9mφ)

・アンテナビーム幅:約3.5°

・アンテナ回転:垂直面内は固定、水平面内は約1rpm

・受信機雑音指数:2dB

・受信機利得制御:STCなし、利得半固定

・受信機入力等価雑音レベル:−110dBm

・受信機入出力特性:対数特性;70dB以上

・受信電力測定:振幅比較方式

 

例示したレーダーによる受信電力を試算すると、次ペ一ジに示す図の結果を得る。技術的には実現可能性が大きいことが分かる。

 

 

 

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